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大阪地方裁判所 昭和60年(ワ)6782号 判決

原告

株式会社ハウスビーエム

右代表者代表取締役

安心院國雄

右訴訟代理人弁護士

村林隆一

今中利昭

吉村洋

釜田佳孝

浦田和栄

谷口遠吉

松本司

村上和史

被告

株式会社イケダ

右代表者代表取締役

池田直樹

被告

祖谷産業株式会社

右代表者代表取締役

播磨徹三

被告

千代田技研株式会社こと生田正夫

被告

ナニワ建設機材株式会社

右代表者代表取締役

佐々木勇

被告

株式会社ケイ・アイ・ドリル

右代表者代表取締役

後藤末広

右五名訴訟代理人弁護士

谷五佐夫

土谷明

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(主位的請求)

1 被告株式会社イケダは別紙(一)イ号図面説明書記載の剛性物質穴あけ用ドリルを製造し、販売してはならない。

2 被告祖谷産業株式会社、同生田正夫、同ナニワ建設機材株式会社及び同株式会社ケイ・アイ・ドリルは前項のドリルを販売し、販売のために展示してはならない。

3 被告らは前記ドリルを廃棄せよ。

4 原告に対し、被告株式会社イケダ、同祖谷産業株式会社、同生田正夫及び同ナニワ建設機材株式会社は各金六〇〇万円、被告株式会社ケイ・アイ・ドリルは金一〇八〇万円並びに右各金員に対する昭和六〇年九月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

5 訴訟費用は被告らの負担とする。

6 仮執行の宣言

(予備的請求)

1 被告らは別紙(一)イ号図面説明書記載の剛性物質穴あけ用ドリル、その容器、カタログ、チラシに意匠登録番号第六一五二二三号、意匠権者原告及び訴外池田直樹である旨を表示しなければならない。

2 訴訟費用は被告らの負担とする。

3 仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

(主位的請求)

一  請求原因

1 原告は、次の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その意匠を「本件意匠」という)の共有者である。

出願日 昭和五六年四月二八日

出願番号 昭和五六年第一八三二七号

登録日 昭和五八年九月三〇日

登録番号 第六一五二二三号

意匠に係る物品 剛性物質穴あけ用ドリル

登録意匠 別紙(二)意匠公報記載のとおり

2 本件意匠は、これを本意匠とする次の類似意匠(以下順に「本件類似意匠(一)、同(二)」という)がある。

(一)出願日 昭和五六年四月二八日

出願番号 昭和五六年第一八三二八号

登録日 昭和五八年九月三〇日

登録番号 第六一五二二三号の類似一

意匠に係る物品 剛性物質穴あけ用ドリル

登録意匠 別紙(三)意匠公報記載のとおり

(二)出願日 昭和五六年四月二八日

出願番号 昭和五六年第一八三二九号

登録日 昭和五八年九月三〇日

登録番号 第六一五二二三号の類似二

意匠に係る物品 剛性物質穴あけ用ドリル

登録意匠 別紙(四)意匠公報記載のとおり

イ号図面

3(一) 本件意匠は剛性物質穴あけ用ドリルに関するもので、その構成は次のとおりである。

(イ) 剛性物質穴あけ用ドリルは、両端が開口する円筒体から成る。

(ロ) 円筒体の両端縁には周方向に間隔を置いて多数の刃を設け、刃と刃の間にて周縁に切欠を有する。

(二) 本件類似意匠(一)の構成は次のとおりである。

(イ) 剛性物質穴あけ用ドリルは、両端が開口する円筒体から成る。

(ロ) 円筒体の両端縁には周方向に間隔を置いて多数の刃を設け、刃と刃の間にて周縁に切欠を有する。

(ハ) 円筒体の周面に、長手方向に間隔を置いて三個設けた円形孔の列を、周方向に等間隔を置いて四列設けている。

(三) 本件類似意匠(二)の構成は次のとおりである。

(イ) 剛性物質穴あけ用ドリルは、両端が開口する円筒体から成る。

(ロ) 円筒体の両端縁には周方向に間隔を置いて多数の刃を設け、刃と刃の間にて周縁に切欠を有する。

(ハ) 円筒体の周面に、長手方向に沿う細長い孔を、周方向対称位置に二個設けている。

4 被告株式会社イケダ(以下「被告イケダ」という)は、遅くとも昭和五九年一月六日頃から別紙(一)イ号図面説明書記載の剛性物質穴あけ用ドリル(以下「イ号製品」という)を製造、販売しており、その余の被告四名は、遅くとも同時期頃からイ号製品を販売している。

5 イ号製品の意匠(以下「イ号意匠」という)の構成は次のとおりである。

(イ) 剛性物質穴あけ用ドリル1は、両端が開口する円筒体2から成る。

(ロ) 円筒体2の両端縁3、3には周方向に間隔を置いて多数の刃4を設け、刃4と刃4の間にて周縁に切欠5を有する。

(ハ) ドリル1は、シャンク6に対し、ヘッドフランジ7及びテーパフランジ8を介して、円筒体2の一端側の内周部を組付けられ、シャンク6に取付けたセンタードリル9を円筒体2の中心に位置せしめている。

6 イ号意匠は、次のとおり本件意匠に類似する。

(一) イ号意匠の構成(イ)は本件意匠の構成(イ)と共通する。

(二) イ号意匠の構成(ロ)は本件意匠の構成(ロ)と共通する。

(三) したがつて、イ号製品におけるドリル1は、本件意匠の要部をそのまま備えており、外観形状が酷似するものであつて、本件意匠の類似範囲に属している。

(四) ところで、イ号製品は、ドリル1のみから成るものではなく、前記5(ハ)の構成のとおり、該ドリル1にシャンク6及びセンタードリル等を備えた状態で取引されているものである。しかし、これらの部品は各別に製造され、これを組付けて販売に供されているに過ぎず、各部品が容易に分解自在とされ、しかも、ドリル1は互換性を有するものである。

したがつて、イ号製品は、全体として本件意匠の類似範囲に属するドリル1を利用した製品である。

7(一) 被告イケダは、昭和五九年一月六日から同六〇年六月末日までにイ号製品を三〇〇〇個以上製造、販売し、その間少なくとも六〇〇万円の利益を得た。

(二) 被告祖谷産業株式会社は、右期間にイ号製品を三〇〇〇個以上販売し、少なくとも六〇〇万円の利益を得た。

(三) 被告生田正夫は、右期間にイ号製品を三〇〇〇個以上販売し、少なくとも六〇〇万円の利益を得た。

(四) 被告ナニワ建設機材株式会社は、右期間にイ号製品を三〇〇〇個以上販売し、少なくとも六〇〇万円の利益を得た。

(五) 被告株式会社ケイ・アイ・ドリルは、右期間にイ号製品を五四〇〇個以上販売し、少なくとも一〇八〇万円の利益を得た。

(六) 被告らの得た右各利益の額は、原告が本件意匠権を被告らに侵害されたことにより被つた損害の額と推定される。

8 よつて、原告は、本件意匠権に基づき被告らに対しイ号製品の販売(被告イケダに対しては製造も)の差止及び同製品の廃棄を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償として被告株式会社ケイ・アイ・ドリルに対しては金一〇八〇万円、その余の被告四名に対しては各金六〇〇万円及び右各金員に対する不法行為後である昭和六〇年九月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1ないし6の事実は認める。

2 同7(一)ないし(五)のうち、被告らが製造し又は販売したイ号製品の数量、被告らが得た利益の額は否認し、その余の事実は認め、同7(六)の主張は争う。

三  抗弁

1(一) 本件意匠権は、原告と被告イケダ代表者である訴外池田直樹(以下「池田」という)の共有である。

(二) 本件意匠は池田が単独で創作したものである。

(三) 仮に本件意匠が池田単独の創作によるものでないとしても、本件意匠は池田と原告従業員の訴外上村明仁(以下「上村」という)が共同で創作したものである。

(四) 池田は本件意匠の創作当時被告イケダの代表取締役であり、右創作は同被告の業務範囲に属し、かつ同人の代表取締役の職務としてなされたものである。

(五) したがつて、被告イケダは、意匠法一五条三項の準用する特許法三五条一項の規定に基づき、本件意匠権について通常実施権を有する。

2 被告祖谷産業株式会社、同生田正夫、同ナニワ建設機材株式会社及び同株式会社ケイ・アイ・ドリルは、被告イケダが前記通常実施権に基づいて製造、販売したイ号製品を購入してこれを販売しているものである。

四  抗弁に対する認否

抗弁1(一)の事実は認める。同(二)の事実は否認する。同(三)の事実は認める。同(四)のうち本件意匠の創作当時池田が被告イケダの代表取締役であつたことは認める。同(五)は争う。

五  再抗弁

本件意匠は、原告従業員上村と被告イケダ代表取締役池田の共同創作に係るものであるが、上村は意匠登録を受ける権利の共有持分を原告に譲渡し、一方池田の側は右権利を被告イケダに譲渡せず、原告と池田が共同出願人として本件意匠の登録出願をした。右出願に際し、原告の代理人である上村と被告イケダ代表取締役池田の間で、被告イケダは意匠法一五条三項が準用する特許法三五条一項に基づく通常実施権を主張せず、本件意匠について何らの権利も取得しない旨を合意した。池田は、被告イケダから本件意匠権の実施による報酬(実施料)を得る目的であえて池田個人を原告との共同出願人とし、右のような合意をしたものである。

前記のとおり、本件意匠の共同創作者の一人である上村は意匠登録を受ける権利の共有持分を原告に譲渡し、本件意匠について何らの権利も取得しないことになつたのに、他方共同創作者の他の一人である池田が共同出願人となつて本件意匠権の共有者となり、かつ被告イケダも通常実施権を取得するのでは、不公平な結果を招来することになるから、原告と被告イケダの間で前記のような合意が成立したものと解さなければならない。

六  再抗弁に対する認否

再抗弁のうち、本件意匠の登録出願が原告と池田を共同出願人としてなされたことは認めるが、その余の事実は否認する。

(予備的請求)

一  請求原因

1 原告と池田は本件意匠権を共有している。

2 被告イケダは、本件意匠権について職務意匠による通常実施権を有すると主張し、その余の被告四名は、被告イケダからイ号製品を購入して第三者に販売している。

3 被告イケダは、イ号製品に小さく「IKD」と刻印をするのみであり、その余の被告四名は、右製品の容器、カタログに自己の会社名のみを表示し、右製品が本件意匠権の実施品である事実、意匠権者が原告及び池田である事実並びに製造者が被告イケダである事実を表示せず、あたかも被告イケダ似外の被告四名が製造者であるように振舞つている。

4 ところで、意匠法六四条は「意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は物品又はその包装に登録意匠である旨の表示を附するように努めなければならない」と規定している。しかしながら、約定実施権の場合には、意匠権者と各実施権者との契約によつて直接その旨を強要することができるが、本件のような法定実施権を主張する場合には、直接かかる契約をすることができない。

したがつて、本件のような法定実施権の事案にあつては、意匠権者はその意匠実施品の製造者・販売者に意匠登録番号及び意匠権者の氏名又は名称を表示することを法律上請求することができるとしなければならない。そう解しなければ、意匠法六四条の規定にかかわらず、意匠権者は右規定を遵守することができないことになり、その結果第三者に対する意匠権者の保護並びに第三者に対する警告的意味は全く失われてしまうことになる。

5 よつて、原告は被告らに対し、イ号製品、その容器、カタログ、チラシに本件意匠の登録番号第六一五二二三号、意匠権者原告及び池田である旨の表示をすることを求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1、2の事実は認める。

2 同3の事実のうち、被告イケダがイ号製品に原告主張の刻印をしていることは認めるが、その余は否認する。被告イケダは、イ号製品に消えにくい方法として原告主張の刻印を打ち、容器にも必要に応じて同被告の製品表示をするよう努力している。

3 同4は争う。意匠法六四条は、意匠権者、実施権者に登録意匠であることの表示を求めているだけであつて、意匠権者の氏名、名称の表示を求めているわけではないし、販売者にまで表示を求めてはいない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一主位的請求について

1  請求原因1ないし6の事実は、当事者間に争いがない。

2  よつて、抗弁について判断する。

本件意匠権が原告と被告イケダ代表者池田の共有であることは、当事者間に争いがない。

被告らは、第一次的には本件意匠は池田が単独で創作したものであると主張する。被告イケダ代表者尋問の結果中には、本件意匠の要部であるドリルの円筒体の両端に刃を設けるというアイデアは、池田が最初に考えついて言い出したものであるとの供述部分があるが、右供述は証人上村明仁の証言と対比すると疑問があるし、同代表者の供述も全体としては、本件意匠の創作は池田と上村が話し合つて共同で行つた趣旨であることが窺われる。そして、〈証拠〉によれば、本件意匠及び本件類似意匠(一)、(二)の意匠登録出願の願書には創作者を池田と上村の両名と記載していることが認められる。他に本件意匠が池田単独の創作に係るものであることを認めるに足りる証拠はない。以上の事実からすれば、本件意匠は右両名の共同創作に係るものであると認められる。被告らも、第二次的には本件意匠は池田と上村の両名の共同創作に係るものであると主張しており、その点は原告も認めるところであるから、その限りでは当事者間に争いがないものといえる。

そして、池田が本件意匠の創作当時被告イケダの代表取締役であつたことは当事者間に争いがない。また、右創作が被告イケダの業務範囲に属し、かつ池田の代表取締役の職務としてなされたことは、原告において明らかに争わないから、自白したものとみなす。

右事実によれば、本件意匠は被告イケダにとつて職務意匠にあたるものということができるから、再抗弁が認められない限り、被告イケダは、意匠法一五条三項、特許法三五条一項により、本件意匠権につき通常実施権を有することとなる。

そして、〈証拠〉によれば、被告イケダ以外の被告四名は、被告イケダが製造、販売したイ号製品を購入して他に販売しているものであることが認められ、右認定に反する証拠はないから、再抗弁が認められない限り、被告イケダ以外の四名の右行為は、被告イケダの右通常実施権行使後の行為としていわゆる消耗理論により適法とみるべきこととなる。

3  そこで、再抗弁について判断する。

再抗弁事実のうち、本件意匠が原告従業員上村と被告イケダ代表取締役池田の共同創作に係るものであることは前示のとおりであり、原告と池田が共同出願人として本件意匠の登録出願をしたことは当事者間に争いがない。

原告は、右出願に際し、原告の代理人である上村と被告イケダの代表取締役である池田との間で、被告イケダは職務意匠による通常実施権を主張せず、本件意匠について何らの権利も取得しない旨を合意したと主張する。

しかし、右のような合意が成立した事実は、本件全証拠によつても認めることができない。〈証拠〉によれば、本件意匠の創作後、池田と上村が本件意匠の登録出願について話し合いをしたこと、その際池田が上村に対し、池田の側では同人個人を出願人とする旨告げるとともに、上村の方も個人を出願人としてはどうかとの話をしたことは認められるが、右話し合いにおいて、原告が主張するような、職務意匠による通常実施権を被告イケダが主張しないとの合意がなされたことはもとより、そのようなことに話題が及んだことも全く窺われない。被告イケダ代表者は、本件意匠の出願人を被告イケダとせずに池田個人とした理由について、そのようにすれば、池田の代表取締役としての実績になるとともに、被告イケダから報酬を得られるのではないかと考えたからだとの趣旨の供述をしているが、その内容は漠然としており、本件意匠についての被告イケダと池田個人との権利関係について十分考慮を払つたうえで本件意匠の出願人を右のとおりとしたものだとは認められず、池田の真意が右供述のような点にあつたとしても、そのことから被告イケダの取得すべき職務意匠による法定通常実施権を放棄するとの積極的な意思があつたものとまで推認することはとうていできない。

また、本件意匠が上村と池田の共同創作によるものでありながら、一方は会社を出願人とし、他方は個人を出願人としたからといつて、それぞれ当該当事者の意思に基づくものである以上、被告イケダが右通常実施権を放棄しなければ容認し難い不公平な結果を招来すると考えることもできない。

原告の再抗弁は理由がない。

4  以上によれば、被告らの行為は、いずれも被告イケダの通常実施権に基づく適法な行為であつて、原告の有する本件意匠の共有権を侵害するものではないといわなければならない。

二予備的請求について

1  請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。

2  被告イケダがイ号製品に「IKD」の刻印をしていることは当事者間に争いがない。〈証拠〉によれば、被告イケダ以外の被告四名は、その販売しているイ号製品、容器、カタログに自己の会社名のみを表示し、右製品が本件意匠権の実施品である事実、意匠権者が原告及び池田である事実並びに製造者が被告イケダである事実を特に表示していないことが認められる。

3  原告は、意匠法六四条に基づき被告らに対し意匠登録番号及び意匠権者の氏名又は名称をイ号製品、その容器、カタログ、チラシに表示することを求めることができると主張する。

意匠法六四条は「意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、通商産業省令で定めるところにより、登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る物品又はその物品の包装にその物品が登録意匠又はこれに類似する意匠に係る旨の表示を附するように努めなければならない。」と規定し、意匠法施行規則一〇条は「意匠法第六四条の意匠登録表示は、「登録意匠」の文字およびその登録番号とする。」と規定している。

右規定の趣旨は、登録意匠に係る物に意匠登録表示を附することによつて、意匠権侵害を未然に防止することを目的とするものであると解されるが、他の商品と区別されるという意味では一般公衆の保護にもなり、登録意匠に係る物に意匠登録表示を附することは望ましいことであるといえる。しかし、意匠法六四条は、意匠登録表示を「附するように努めなければならない」としているに過ぎず、意匠権者等に右表示を附することを義務付けることをせず、訓示的なものにとどめていることが明らかである。

したがつて、本件意匠権につき通常実施権を有する被告イケダにおいても、イ号製品に、法文に何らの規定のない意匠権者の氏名、名称についてはもとより、意匠法施行規則一〇条の定める登録意匠の文字及び登録番号についてもこれを附する義務があるものとはいえない。まして、意匠権者、専用実施権者、通常実施権者のいずれにも当らないその余の被告四名が右表示を附する義務を負うと解することはできない。

他に、原告が被告らに対しその主張の表示をすることを請求し得る法的な根拠を見出すことはできない。

三以上の次第で、原告の被告らに対する主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官露木靖郎 裁判官小松一雄 裁判官髙原正良)

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